条文
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
解説
他人の代理人として契約をした者(=代理人)は、自分の代理権を証明することができなかったうえに、本人の追認(
第116条参照。)を得ることができなかった場合は、相手方の選択にしたがって、相手方に対して、その契約を履行するか、または損害の賠償をしなくてはなりません。
つまり、逆に言うと、有効な代理行為となるには、代理人が本人から与えられた代理権を証明できるようにしておくか、無権代理行為が、本人によって追認(
第116条参照。)されなくてはならない、ということです。
契約書作成実務における注意点
他人の代理人となる場合は、本条によって自分に責任が及ばないように、きっちりと委任契約を結ぶようにしておきましょう。
委任契約書は、代理人にとっては、自分が無権代理人となってしまうリスクを回避する意味で、非常に重要な書類です。
委任契約を結ばずに代理行為をおこない、後々になってから本人に「そんな代理権を与えた覚えは無い!!」と言われてしまったら、真実はどうであれ、場合によっては無権代理行為とされてしまう可能性があります。
そうなると、本条によって、過大な責任を負わなくてはならなくなります。
そうした無用なリスクを回避するためにも、委任契約を必ず結んでおきましょう。
また、代理行為の相手方(=代理人と契約を結ぶ当事者)としては、契約において、無権代理行為が発覚した場合は、その契約について相当リスクが高まっているものと認識したほうがいいでしょう。
というのも、本条によって、無権代理人への責任追及は可能なことは可能なのですが、だからといって、必ずしもその責任が果たされるとは限りません。
実際に責任を追及したところで、無権代理人に契約の履行ができる能力が無ければ損害を賠償する資力も無い、というがことでは、泣き寝入りするハメになります。
ですから、代理人との契約は、くれぐれも注意してください。
普通、代理人というのは個人ですから、往々にして、このような契約履行能力も無く、無資力というケースが多いようです。
ですから、特に大規模な資金が動いたり事業の根幹にかかわるビジネス上の契約を結ぶ場合は、本人や代表権者(法人の場合)と直接契約を結ぶようにしましょう。
どうしても代理人と契約を結ばざるをえない場合は、正式な委任状を徴収し、厳格な手続きにしたがって契約を結ぶようにしてください。
注意するべき契約書
委任契約書。
委任状。
代理人が当事者となる
契約書全般。