民法 第120条第1項
    (取消権)

条文

行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

解説

行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者自身またはその代理人、承継人もしくは同意をすることができる者(保佐人および補助人のこと。)に限り、取り消すことができます。



これはどういうことかというと、制限行為能力者の保護のために、その制限行為能力者自身と、その制限行為能力者を保護する立場にある者に、民事上の行為の取消し権を認めるということです。

ただ、本条によって取り消すことができる行為は、あくまで、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為」です。

このほかには、本条第2項に規定されている、意思表示に瑕疵があった場合、具体的には、詐欺や強迫による意思表示(第96条第1項参照。)、後見人の権限外の行為の取消し(第865条)の場合に限ります。

これら以外の取消しには、本条は適用されません。

契約書作成実務における注意点

制限行為能力者は、本条を中心として、強力に保護されています。

ですから、制限行為能力者を相手方として契約を結ぶ際は、細心の注意を払う必要があります。

これは、制限行為能力者を相手方として契約を結ぶ側は、著しく不利な立場に立たされるということを意味しています。

対策としては、本条に定めている取消し権を行使できないようにすることになります。



具体的には、催告(第20条第2項参照。)をすることによって、追認(第122条参照。)を求めたり、制限行為能力者の行為に同意できる立場にある者の同意を得たり、制限行為能力者の代理人と直接契約を結んだりすることになります。

いずれの方法であっても、コストがかかるうえに、リスクも高くなりがちです。

ですから、慎重に手続きを取りながら契約を結んでいきましょう。



なお、取り消す側は、取消しの際に、後々のトラブルの予防という意味で、必ず後日の証拠となるように、書面による配達記録付きの内容証明郵便によって取り消しをおこないましょう。

注意するべき契約書

契約書全般

特に、制限行為能力者が当事者となる契約書。

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