民法 第13条第2項
    (保佐人の同意を要する行為等)

条文

家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

解説

家庭裁判所は、第11条本文に規定する者、または保佐人、もしくは保佐監督人(第876条の3第1項)の請求により、被保佐人第13条第1項各号に記載されている行為以外の行為をする場合であっても、その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます。

ただし、第9条ただし書に規定する行為、つまり日常生活に関する行為については除きます。



これはどういうことかというと、家庭裁判所への関係者の申し立てによって、第13条第1項に記載されているような、重要な財産の変動に関する行為以外の行為であっても、保佐人の同意が必要な行為とすることができます。

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務におけるリスク管理という点では、行為能力が制限されている被保佐人との契約には、細心の注意を払う必要があります。

つまり、どんなにしっかりとした契約書を作り、抜かりない手続で契約書に署名・押印し、各種法律にもなんら抵触していない契約を結んだとしても、相手が被保佐人である以上は、その後に取り消される(第120条第1項参照。)可能性があります。

それは、被保佐人との契約は不完全なものであり、それだけ被保佐人との契約はリスクが高い、ということになります。

特に、本項によって制限されている被保佐人の行為を契約の相手方が知ることは非常に困難です。



というのも、本項によって制限される被保佐人の行為は、後見登記等に関する法律第4条第1項第5号によって、東京法務局に登記されます。

ところが、被保佐人の契約の相手方は、その登記事項の証明書の交付を請求できないことになっています(保佐人やその関係者はできます。)。

つまり、被保佐人の契約の相手方は、保佐人の側に対して、登記事項の証明書の提示を求めることによってしか、本項をもとづいた制限されている被保佐人の行為の内容がわからないのです。



また、なによりも、取り消された後の不当利得(第703条)の返還請求が困難であるという点が、非常に厄介です(第121条参照。)。



ですから、契約書作成実務という点や、ビジネス上のリスク管理という点では、そもそも被保佐人を対象としたビジネスは、避けるべきものです。



ただ、そうはいっても、被保佐人と契約をしなくてはならない状況があるかもしれません。

そのような場合、実務上、リスクを抑えて被保佐人と契約を結ぶのであれば、契約締結の場に、保佐人も同席してもらい、同意を取り付ける形で契約に調印することになります。



原則として、保佐人には代理権が付与されていません(付与することは自体可能です。第876条の4第1項を参照。)。

ですから、同意を得ることでしか、契約の取り消しによるリスクを避けることはできません。

つまり、被保佐人保佐人の双方と契約交渉をおこなうことが重要となります。

こうすることによって、少なくとも、被保佐人の単独行為を理由として取り消されるリスクは無くなります。



逆に、被保佐人を保護する立場にある人は、被保佐人は本条によって、強力に保護されているということを覚えておいてください。

注意するべき契約書

被保佐人が当事者となる契約書全般

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