民法 第137条
    (期限の利益の喪失)

条文

次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二  債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

解説

以下の各号に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができません。

(1) 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
   (破産法第30条ないし第33条参照。)

(2) 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき。
   (例:債務者が抵当権を設定している建物に放火した場合。)

(3) 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
   (例:担保価値が減少した場合に、追加担保を提供すべき特約が
   あるにも関わらず、その提供をしなかった場合。)



以上の各号は、典型的な期限の利益喪失事由ですから、わざわざ民法によって規定されました。



なお、「主張することができない。」とは、あくまで、債務者の側から主張することができないということです。

ですから、ただちに期限の利益が喪失するということではありません。

ただ、債権者の側から期限の利益が喪失し、期限が到来したことを主張された場合は、債務者は、ただちにその債務を履行しなければなりません。

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務において、期限の利益喪失条項(特約)は、たいていの契約書に規定されている、非常に重要な規定です。



債権者の立場で契約書を起案する場合は、いかにしてこの期限の利益喪失条項を充実させるかがポイントとなってきます。

というのも、通常、期限の利益喪失条項は、債権回収のために規定します。

つまり、債務者の信用状態が悪化した場合に、ただちに期限を到来させ、債務の履行を請求できるようにする、という手続を踏むことによって債権回収をはかる、ということです。

また、合わせて、期限の利益が喪失した場合に、契約解除ができるようにしておきます。

これは、もう相手に債務を履行してもらう見込みがない以上、早急に契約関係を終了させることができるようにする意味があります。



そういう意味では、本条に規定されている内容では、期限の利益喪失条項としては、非常に内容が薄く、とても機動的な債権回収はおぼつきません。

ですから、契約書によって、もっと期限の利益喪失条項を充実させておきましょう。



逆に、債務者の立場で契約書を起案する場合は、いかにしてこの期限の利益喪失条項を少なくするかがポイントとなってきます。

あまりに厳しい期限の利益喪失条項を定めてしまうと、すぐに債務の履行と契約解除をしなければならなくなってくる可能性があります。

ですから、できるだけ、期限の利益の喪失に該当する事由を少なくするようにしましょう。

また、実際に契約を履行している間も、そうした事由に該当するようなことをおこなわないようにしましょう。

注意するべき契約書

契約書全般

特に、金銭消費貸借契約書のなかでも、プロジェクトファイナンスに関する契約書。

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