条文
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
解説
当事者が時効を援用しなければ、裁判所がその時効が援用できることを知っていたとしても、この時効によって裁判をおこなうことができません。
これはどういうことかというと、当事者が時効の援用(時効の利益を受ける旨の主張すること)をしない限り、裁判所が勝手にその時効の効果を発生させて判決を下すことができない、ということです。
本条によって、時効の援用は、当事者の意思に委ねられています。
これは、必ずしもすべての人が、時効による利益の享受をよしとするとは限らないからです。
なお、本条でいう「当事者」とは、時効の援用によって利益を享受できる者のことです。
当然ながら、直接利益を享受できる者は、当事者に該当します。
そのほかにも、間接的に利益を享受できる者も、当事者に該当する場合があります。
例えば、金銭債権(いわゆる借金)についての保証人・連帯保証人や、物上保証人などは、どう自社に該当します(判例)。
ただ、その範囲は、個別の事例によって判断されます。
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。
というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。
そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。
また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが
強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。
ですから、例えば、事前に契約などで時効の援用権を放棄させたとしても、その契約条項自体が無効となります(
第146条参照。)。
注意するべき契約書
契約書全般。