条文
解説
時効の利益は、時効が完成する前に、あらかじめ放棄することができません。
これはどういうことかというと、例えば、事前に契約書などで時効の利益を放棄できることにしてしまうと、事実上、時効制度の存在意義がなくなってしまいます。
ですから、事前の時効の利益の放棄は、無効となります。
同様に、時効の援用を妨げるような契約条件や、時効期間を延長するような契約条件を契約書に記載していたとしても、無効となると考えられています(学説)。
ただ、これに対して、時効期間を短縮する契約条件は、有効とされています(判例)。
なお、本条では、あくまで、時効の利益は、「あらかじめ」放棄することができない、とされています。
この反対解釈として、時効が完成した後であれば、時効の利益は放棄することができる、とされています。
なお、この考え方は更に延長され、時効が完成した後に債務を承認した場合は、信義則(
第1条第2項参照。)によって時効の援用ができない、という考え方まで発展しています(判例)。
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。
というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。
そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。
また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが
強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。
本条がその典型です。
ただ、時効期間の短縮は可能ですから、契約書を作成する際には、契約条件のひとつとして検討してみてもよいでしょう。
注意するべき契約書
契約書全般。