民法 第153条
    (催告)

条文

催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

解説

催告は、それをおこなっただけでは時効の中断の効果を生じず、6ヶ月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法もしくは家事審判法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押えまたは仮処分をおこなって、初めて時効の中断の効力を生じます。



これはどういうことかというと、単に債権者からの催告があっただけでは時効は中断せず、その後6ヶ月以内に一定の法的手続きを経て、初めて時効が中断される、ということです。

なお、催告とは、債権者からの債務者に対する意思の通知のことです。

催告には、特に方式は定められてはいませんが、「時間」が重要とされる時効制度の性質上、当然ながら、配達記録付の内容証明郵便を用いた書類でおこなうべきです。

また、場合によっては、裁判上の手続の一部が、本条の催告に該当する場合があります。



「裁判上の請求」とは、いわゆる訴訟のことです。

ただ、どういった訴訟が「裁判上の請求」に該当するかは、それぞれの訴訟の内容によって、個別具体的に判断されます。



「支払督促」とは、裁判所書記官の、債務者に対する、金銭の支払や給付の督促の手続のことです。

かつては、「支払命令」と呼ばれていました。



「和解」とは、訴え提起前の和解のことで、当事者が簡易裁判所に申し立てることによっておこなわれる、裁判所が関与することによっておこなわれる和解のことです。

いわゆる、「即決和解」ともいいます。

単に当事者間の合意によって取り交わされる和解契約のことではありません。



「調停」とは、裁判所(実務的には調停委員会)が介入することによって、当事者の合意を形成し、紛争の処理をおこなう制度です。



「破産手続参加」とは、破産手続において、破産債権者として破産債権の届出をおこなうことです(破産法第111条参照。)。



「再生手続参加」とは、民事再生手続において、再生債権者として再生債権の届出をおこなうことです(民事再生法第94条参照。)。



「更正手続参加」とは、会社更正手続において、更正債権者として更正債権の届出をおこなうことです(会社更生法第135条参照。)。



「差押え」とは、将来の強制執行のための債権の保全のことです。



「仮差押え」とは、将来の金銭債権の強制執行に備えた一部の財産権に対する権利の保全のことです。



「仮処分」とは、 金銭債権以外の権利の保全のことです。

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。

というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。

そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。

また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。

ただ、契約実務上、時効の中断は、時効による不利益の発生を予防することができる数少ない手段です。

ですから、本条は、時効の中断の効果を享受するためには、非常に重要な条文です。



なお、本条規定の各種法的手続きには、高度な法的専門知識が要求されます。

ですから、これらの法的手続をおこなう場合は、必ず専門家に相談しましょう。



また、催告は、実務的には、事実上、配達記録付の内容証明郵便を用いた書面でおこなうことになります。

こちらもまた、高度な専門知識が要求されます。

最初に催告でつまずいてしまうと、後々の各種法的手続きに悪影響を与えてしまい、最悪の場合は、時効の中断を主張できなくなってしまいます。

ですから、催告をおこなう場合も、必ず専門家に相談しましょう。

注意するべき契約書

契約書全般

このサイトの全てまたは一部につき、無断の転写・転載は厳にお断り致します。

このサイトはリンクフリーです。
相互リンクもおこなっています。相互リンクをご希望の場合は、リンクについてをご覧ください。

ご意見・ご感想などがございましたら、ぜひr_osanai@msj.biglobe.ne.jpまでお寄せください。