民法 第156条
    (承認)

条文

時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。

解説

時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき、その者の行為能力または権限を必要としません。



「承認」とは、時効の対象となっている権利義務が存在すること自体を表示することです。

具体的にどのような行為が承認に該当するかは、個別具体的に判断されます。

例えば、利息の支払は、元本の承認に該当します。



なお、承認には、特に法的な形式は規定されていませんので、なんら制限はありません。

ただし、承認は、相手方に対して表示されることが必要とされています。



行為能力または権限があることを要しない。」とは、時効の利益を受ける権利(=消滅する債務)について、その者の行為能力や権限を必要としない、ということです。

なぜ行為能力や権限を必要としないのかというと、そもそも、承認は、積極的に何らかの権利や義務を発生させるものではなく、本来の権利義務を確認するだけのものです。

ですから、行為能力や権限を必要とせず、財産の管理能力さえあればよいされています。



そういう意味では、財産の管理能力があるとされている、被保佐人第11条参照。)や被補助人第15条第1項参照。) は、本条でいうところの承認ができます。

これに対し、財産の管理能力がないとされている、未成年者第4条参照。)や成年被後見人第7条参照。)は、承認ができません。
(この点について、第158条第1項第158条第2項を参照してください。)

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。

というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。

そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。

また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。

ただ、契約実務上、時効の中断は、時効による不利益の発生を予防することができる数少ない手段です。

ですから、本条は、時効の中断の効果を享受するためには、非常に重要な条文です。



なお、相手方から承認を引き出すには、高度な法的テクニックが要求されます。

つまり、それだけ高度な専門的知識が必要となってきます。

ですから、相手方から承認を引き出す場合は、必ず専門家に相談しましょう。



また、逆の立場の場合、時効が中断しないように承認を回避するときもまた、高度な法的テクニックと専門知識が必要とされます。

ですから、時効が中断しないように承認を回避するときもまた、必ず専門家に相談しましょう。

注意するべき契約書

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