条文
家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
解説
家庭裁判所は、
第15条第1項本文に規定する者、または
補助人、もしくは補助監督人(
第876条の8第1項)の請求により、
被補助人が、その
補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます。
ただし、その審判によって、その
補助人の同意を得なければならないものとする行為は、
第13条第1項に記載されている行為の一部に限ります。
これはどういうことかというと、
補助人は、包括的な保護が認められている
成年被後見人(
第9条参照。)や、限定的ではあっても、法律によって保護されるべき行為が決まっている
被保佐人(
第13条第1項参照。)とは違って、保護のために制限するべき行為があらかじめ決まっていません。
ですから、本項によって、具体的に保護のために制限すべき行為を決定することになります。
契約書作成実務における注意点
本項によって制限されている
被補助人の行為は、契約の相手方が知ることが非常に困難なため、
被補助人との契約はには細心の注意を払う必要があります。
というより、実際は、
被補助人との契約は、あまりお勧めできません。
というのも、本項によって制限される
被補助人の行為は、
後見登記等に関する法律第4条第1項第5号によって、
東京法務局に登記されます。
ところが、
被補助人の契約の相手方は、その登記事項の証明書の交付を請求できないことになっています(
補助人やその関係者はできます)。
つまり、
被補助人の契約の相手方は、
被補助人の側に対して、登記事項の証明書の提示を求めることによってしか、本項をもとにして制限されているる
被補助人の行為の内容がわからないのです。
また、なによりも、取り消された後の不当利得(
第703条)の返還請求が困難であるというのが、非常に厄介です(
第121条参照。)。
ですから、契約書作成実務という点や、ビジネス上のリスク管理という点では、そもそも
被補助人を対象としたビジネスは、避けるべきものです。
ただ、そうはいっても、
被補助人と契約をしなくてはならない状況があるかもしれません。
そのような場合、実務上、リスクを抑えて
被補助人と契約を結ぶのであれば、契約締結の場に、
補助人にも同席してもらい、同意を取り付ける形で契約に調印することになります。
原則として、
補助人には代理権が付与されていません(付与することは可能です。
第876条の9第1項を参照。)。
ですから、同意を得ることでしか、取り消し(
第17条第4項参照。)によるリスクを避けることはできません。
つまり、
被補助人と
補助人の双方と契約交渉をおこなうことが重要となります。
こうすることによって、少なくとも、
被補助人の単独行為を理由として取り消されるリスクは無くなります。
注意するべき契約書
被補助人が当事者となる
契約書全般。