民法 第17条第4項
    (補助人の同意を要する旨の審判等)

条文

補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

解説

第17条第1項によって、補助人の同意を得なければならない被補助人の行為であって、その同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可(第17条第3項参照。)を得ないでしたものは、取り消す(第120条第1項参照。)ことができます。



これはどういうことかというと、被補助人が制限されている行為(第17条第1項参照。)は、補助人の同意や家庭裁判所の許可が無ければ取り消すことができる、ということです。

本条は、判断力が不十分な被補助人を保護するための、具体的な条文になります。

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務におけるリスク管理という点では、行為能力が制限されている被補助人との契約には、細心の注意を払う必要があります。

その最たる根拠となるのが、本条になります。

つまり、どんなにしっかりとした契約書を作り、抜かりない手続で契約書に署名・押印し、各種法律にもなんら抵触していない契約を結んだとしても、相手が被補助人である以上は、その後に取り消される(第120条第1項参照。)可能性があります。

それは、被補助人との契約は不完全なものであり、それだけ被補助人との契約はリスクが高い、ということになります。



というのも、第17条第1項によって制限される被補助人の行為は、後見登記等に関する法律第4条第1項第5号によって、東京法務局に登記されます。

ところが、被補助人の契約の相手方は、その登記事項の証明書の交付を請求できないことになっています(被補助人やその関係者はできます)。

つまり、被補助人の契約の相手方は、被補助人の側に対して、登記事項の証明書の提示を求めることによってしか、第17条第1項をもとにして制限されてる被補助人の行為の内容がわからないのです。



また、なによりも、取り消された後の不当利得(第703条)の返還請求が困難であるというのが、非常に厄介です(第121条参照。)。



ですから、契約書作成実務という点や、ビジネス上のリスク管理という点では、そもそも被補助人を対象としたビジネスは、避けるべきものです。



ただ、そうはいっても、被補助人と契約をしなくてはならない状況があるかもしれません。

そのような場合、実務上、リスクを抑えて被補助人と契約を結ぶのであれば、契約締結の場に、補助人にも同席してもらい、同意を取り付ける形で契約に調印することになります。



原則として、補助人には代理権が付与されていません(付与することは可能です。第876条の9第1項を参照。)。

ですから、同意を得ることでしか、契約の取り消し(17条第4項参照。)によるリスクを避けることはできません。

つまり、被補助人補助人の双方と契約交渉をおこなうことが重要となります。

注意するべき契約書

被補助人が当事者となる契約書全般

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