条文
前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。
解説
第172条第1項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時点から5年を経過した場合は、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅します。
これはどういうことかというと、
第172条第1項の規定では、「その原因となった事件が終了した時から二年間行使しない」場合に消滅するという扱いとなっていた債権は、本項によって、「同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したとき」であっても消滅する、ということになっています。
ですから、仮に、
第172条第1項の規定による時効の期間満了時よりも、本項の期間満了時が先に到来した場合は、本項が適用されることになります。
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。
というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。
そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。
また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが
強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。
消滅時効や
取得時効についても、契約書作成実務が関わってくる点は、せいぜい、当事者間の特約で、時効期間を短縮できるという点くらいです。
消滅時効や取得時効を援用される(
第145条参照。)側は、その時効を援用されることによって、自己の権利が相手方に移転したり消滅したりすることがないように気をつけましょう。
ただ、本条に規定されている責任のうち、弁護士についての責任に関しては、実務上、よくある種類の責任です。
ですから、実際に本条が問題となることがあります。
本条における消滅時効の期間は5年と、比較的その期間は長いほうといえます。
そういう意味では、その期間の長さだけに注目すると、そう簡単には消滅時効は成立しません。
また、言うまでもありませんが、本項における債権者である弁護士や公証人は、法律実務に関するプロ中のプロです。
ですから、そうそう簡単に消滅時効にかかるようなことはまずないものと思われます。
注意するべき契約書
訴訟事務委託契約書。
法律事務委託契約書。