民法 第173条
    (二年の短期消滅時効)

条文

次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の
   代価に係る債権
二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の
   仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に
   関する債権
三  学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の
   代価について有する債権

解説

以下の各号に掲げる債権は、2年間行使しない場合は、消滅します。

(1) 生産者、卸売商人または小売商人が売却した産物または商品の
   代価に係る債権

(2) 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作しまたは自己の
   仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に
   関する債権

(3) 学芸または技能の教育をおこなう者が生徒の教育、衣食または
   寄宿の代価について有する債権



第1号は、一般的な商品売買における商品の代価についての債権、つまり、売掛債権のことです。

判例によると、事業者間の取引にも適用されるそうですが、この判例に対しては、商法第522条による5年間の消滅時効を適用するべきとの批判があります。

なお、電気は、本号でいうところの「産物」に該当します(判例)。

第2号は、いわゆる請負契約によって発生する債権のことです。

第3号は、各種習い事についての債権のことです。



本条各号に規定されている債権は、日常的に頻繁におこなわれている契約にもとづく債権です。

そういう意味では、本条は、短期間での消滅時効を規定することで、権利関係を単純化しています。



また、本条は、現在から100年以上も前の民法が施行された時代背景をもとにして規定されている条文です。

ですから、現代の経済事情に合わせて解釈されるべきものです。

つまり、それだけ、いざトラブルになった場合には、裁判によって、どうなるか予測しづらい条文でもあります。

契約書作成実務における注意点

契約書作成実務において、時効制度そのものは、あまり問題とはなりません。

というのも、時効が問題となる状況では、すでに契約上の信頼関係は存在しないことが多いです。

そのような状況であれば、どのように契約書を作っていようとも、もはやどうにかなるものではないからです。

また、そもそも、時効制度自体、ほとんどが強行規定ですから、契約書によってどうにかできるものではありません。



消滅時効取得時効についても、契約書作成実務が関わってくる点は、せいぜい、当事者間の特約で、時効期間を短縮できるという点くらいです。

消滅時効や取得時効を援用される(第145条参照。)側は、その時効を援用されることによって、自己の権利が相手方に移転したり消滅したりすることがないように気をつけましょう。



ただ、本条に規定されている債権は、契約実務においては典型的な債権です。

ですから、実際に本条が問題となることがあります。



本条における消滅時効の期間は2年と、比較的その期間は短いほうといえます。

ですから、本条各号に規定されている債権の債権者は、できるだけ、時効の中断(第147条参照。)などの債務者による時効の援用(第145条参照。)を防ぐための措置を取るようにしましょう。

注意するべき契約書

売買契約書。

商品取引基本契約書。

電気供給約款。

請負契約書。

製造物供給基本契約書。

OEM契約書。

学習塾契約書。

家庭教師派遣契約書。

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