条文
法人は、法令の規定に従い、定款又は寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
解説
法人は、法令や法人の根幹となるルールである定款または寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負います。
これはどういうことかというと、せっかく定款(
第37条参照。)や寄付行為(
第39条参照。)で目的を定めたとしても、その目的外のことまで簡単にできるのであれば、目的の意味がありません。
また、法人と取引をする者としても、その法人が目的外の活動をしていては、安心して取引ができません。
そこで、本条にもとづいて、各種法令や定款または寄付行為で定められた目的の範囲外の行為については、禁止される、ということです。
目的の範囲については、判例によって、営利法人と非営利法人では、若干解釈が違っています。
営利法人の場合は、究極的には利潤を追求するという営利法人の性格から、目的の範囲は、比較的緩やかに解釈されています。
例えば、政治献金でさえ、目的として認められています(判例・八幡製鉄事件)。
非営利法人の場合は、営利法人と比べて、この目的の範囲というのは、厳格に解釈されています。
例えば、同じ政治献金にしても、税理士会という非営利法人がおこなった政治献金は、この目的の範囲外とされています。
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務において、まともなビジネス上の取引をしているのであれば、あまり縁の無い条文です。
ただ、意外と目的外のことをやっている法人もいますので、注意が必要です。
つまり、どう考えても、本業にまったく関係の無いことをやっている法人がいる、ということです。
これが営利法人であれば、上記のように比較的緩やかに解釈されますからさほど問題が無いかもしれません。
ですが、これが非営利法人であれば、やはりそれなりのリスクがあると言えます。
つまり、本業とはまったく関係の無い契約を結ぶことになりそうであれば、場合によっては無効となる可能性も考えておかなければならない、ということです。
(もちろん、なんらかの形で責任を追及することができます。)
また、法律的な話以前の問題として、本業以外のことをやっている法人とは、軽々しく契約を結ぶべきではありません。
一般的に、株式会社の場合は、定款の目的の欄にいろんな目的が書かれていてどれが本業だかわからないような会社は、警戒しなくてはならないとされています。
本業以外の契約を結ぶようなことになった場合は、会社の実態を知るひとつの基準として、登記簿を読んでその会社の目的を調べてみましょう。
なお、本条に違反する行為は、信義則(
第1条第2項参照。)上、その無効を主張できないとされることもあります。
ですが、必ずしもそうとは限りませんので、注意が必要です。
注意するべき契約書
法人が当事者となっている
契約書全般。