条文
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
解説
第5条第1項の規定に反しておこなった
法律行為は、後で取り消す(
第120条第1項参照。)ことができます。
これはどういうことかというと、
法定代理人の同意を得ずにおこなった
未成年者単独の法律行為は、後で取り消すことができる、ということです。
本条は、判断力に問題のある
未成年者を保護するための、具体的な条文です。
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務という点では、
行為能力が制限されている
未成年者との契約には、細心の注意を払う必要があります。
本条が、その最たる根拠です。
とうのも、どんなにしっかりとした契約書を作り、抜かりない手続で契約書に署名・押印し、各種法律にもなんら抵触していない契約を結んだとしても、相手が
未成年者である以上は、この規定によって、後で取り消される可能性があります。
つまり、
未成年者との契約は不完全な契約であり、それだけ
未成年者との契約はリスクが高い、ということです。
このリスクを回避するには、
法定代理人の同意(
第5条第1項参照。)や追認(
第20条第2項参照。)を得る必要があります。
当然、それだけのコストがかかることになります。
また、同意や追認を得ることができないうリスクもあります。
さらに、非常に厄介なことに、もし契約が取り消された場合は、
未成年者は、
「現に利益を受けている(これを現存利益といいます。)限度において、返還の義務を負う」ことになります(
第121条参照。)。
これはどういうことかというと、例えば、ある人が、
未成年者と金銭消費貸借契約を結び、その
未成年者に100万円を貸したとします。
その
未成年者が、借りた金のうち、90万円をギャンブルで使ってしまい、その後、その金銭消費貸借契約が取り消した(
第120条第1項参照。)場合は、
現存利益が10万円と判断されます(判例)。
つまり、10万円しか返さなくてもいい、ということになります。
当然、貸し手は、90万円を丸損することになり、救済されることはありません。
未成年者を相手にしたほうが迂闊だった、ということになります。
これほどのリスクがあるのですから、
未成年者を初めから契約の相手としないことも検討しなければなりません。
また、
未成年者の親(他の
法定代理人も含む)は、その
未成年者が単独で結んだ契約は、本条をもとにして取り消すができます。
それだけ
未成年者は保護されているということです。
注意するべき契約書
未成年者が当事者となる
契約書全般。