条文
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
解説
公の秩序(国家や社会などの一般的な秩序)や、善良の風俗(社会の一般的な道徳的観念や社会通念)に反するような
法律行為は、無効となります。
これはどういうことかというと、社会的な妥当性に欠けるような行為は、無効、つまりはじめから無かったことになる(
第119条参照。)、ということです。
どういった行為が本条に該当するのかは、その行為によって個別・具体的に判断しなくてはなりません。
この判断は、最終的には裁判所の判断に委ねられることがありますが、過去の判例の傾向から、大きく分けて以下の4種類に分類されます。
(1)人倫に反する行為
(2)正義の観念に反する行為
(例:賭博行為)
(3)個人の自由を極度に制限する行為
(例:芸娼妓契約)
(4)暴利行為
(例:過度の違約金)
契約書作成実務における注意点
契約書作成実務においては、通常のビジネスライクな契約を締結していれば、さほど問題になることはありません。
(ただし、あくまで対等な内容の契約条件の場合に限ります。)
ただし、あまりにも不合理な内容の契約になると、この規程をもとにして、無効とされる事もあります。
また、この条項をもとにして、各種の法律が整備されていますので、仮に民法上の条文には抵触しなくても、他の個別の法律に抵触しないように注意する必要があります。
戦前は、主に家族道徳に反するような契約や、人格の尊厳や自由を制限するような契約が、裁判によって無効とされてきました。
戦後になって、ビジネス上の経済格差や力関係の調整を図るような内容の契約が、裁判によって無効とされています。
具体的な契約書作成実務においては、契約上の立場が強い立場で契約書を作成する場合に注意が必要です。
いくら立場が強いからといって、あまりに不合理な内容の契約条件にしてしまうと、その契約条件が無効となる可能性がありますから注意しましょう。
特に、あまりにも高額な違約金は、暴利行為として本条に抵触し、無効となる可能性があります。
高額な違約金を定めるのであれば、その合理的な根拠を契約書に記載して、相手がその根拠を理解したうえで違約金を定めている、という体裁にするべきです。
(ただし、この場合であっても、必ずしもその違約金が有効となるとは限りません。)
注意するべき契約書
契約書全般。
特に、事業者と消費者との間の契約では、あまりにも企業側にとって有利な契約書は、本条や各種個別の法律(例:消費者契約法など)によって無効とされる場合があります。