民法 第96条第2項
    (詐欺又は強迫)

条文

相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

解説

ある者の意思表示に対して第三者が詐欺をおこなった場合は、意思表示の相手方がその詐欺があったという事実を知っていたときに限り、その意思表示をおこなった者は、その意思表示を取り消す(第121条参照。)ことができる、ということです。

これはどういうことかというと、要するに、当事者以外の第三者による詐欺によって当事者の一方が騙されてしまい、その当事者がその詐欺にもとづいて意思表示をしてしまった場合は、相手方がその詐欺があったという事実を知っていた場合にのみ、その当事者は意思表示を取り消すことができます。

この詐欺は、いわゆる「第三者による詐欺」と呼ばれています。



なお、本項に明記されていませんが、強迫の場合は、相手方が強迫があったという事実を知っていようと、知っていまいと、強迫にもとづいて意思表示をした者は、常にその意思表示を取り消すことができます(判例)。

これは、詐欺の場合と比べて、強迫の場合は、強迫された者をより強く保護しよう、という考え方にもとづくものです。

どういう行為が詐欺や強迫に該当するのかは、第96条第1項を参照のこと。

契約書作成実務における注意点

本項によって、詐欺の場合は、どちらかというと第三者の詐欺によって騙されて契約してしまった方よりも、その契約の相手方が保護されます。

もちろん、何らかの損害が発生した場合は、騙した方には、第709条等にもとづく損害賠償請求が可能です。

ただ、契約を取り消すことはできません(あくまで、相手方が事情を知らない場合に限りますが)。

つまり、最も保護されるのは、事情を知らない契約の相手方ということになります。

ですから、第三者に騙されて契約を結ぶようなことはないようにしましょう。



これに対し、強迫の場合は、どちらかというと第三者の強迫によって脅されて契約してしまった方を、その契約の相手方よりも保護することになっています。

契約の取消しも可能です。

つまり、最も保護されるのは、強迫によって脅された方ということになります。

ですから、たとえ第三者から脅されて契約を結ぶハメになったとしても、なお救済の余地はあります。

ただ、実務上は、それなりのコストがかかりますので、このような事態に巻き込まれいように、注意しておきましょう。



また、逆に第三者によって脅されている者と契約する場合は、常に取消しされる可能性を考えなくてはいけません。

それだけリスクの高い契約ということになりますから、あまりお勧めできない契約です。

注意するべき契約書

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