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民法条文解説

民法第121条(取消しの効果)

本頁では、民法第121条(取消しの効果)について解説しています。

民法第121条(取消しの効果)の条文

第121条(取消しの効果)

取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

民法第121条(取消しの効果)解説

趣旨

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本条は、取消しの効果について規定しています。

取り消された行為は、初めから無効、つまり初めからそのような行為は無かったものとみなします。

ただし、制限行為能力者第20条第1項参照)は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負います。

現に利益を受けている限度=現存利益とは

本条における「現に利益を受けている限度」(いわゆる「現存利益」)とは、原形または形を変えて現に残っている限りの利益をいいます(第703条参照)。

本条では、制限行為能力者を保護するため、行為の取消しをおこなった制限行為能力者に限り、現存する利益だけを返還すればよいことになっています。

このため、処分してしまい、すっかり使ってしまったものに関しては、返還する義務はありません。

なお、生活費として金銭などを使った場合は、原則として、現存利益として残っているものと考えられています(大審院判決大正5年6月10日、大審院判決7月10日26日など)。

これに対し、ギャンブルで浪費した利益は現存しないものとされます(最高裁判決昭和50年6月27日)。

この点について、制限行為能力者以外の取消しをおこなった者は、すべての利益、つまり不当利得(第703条・第704条参照)を返還しなければなりません。

みなし規定

本条はいわゆる「みなし規定」であるため、当事者がその行為の無効であることを知って追認をした場合は、実際はもっと以前に行為がおこなわれていたにもかかわらず、新たな行為をしたものとして扱います。

契約実務における注意点

本条は、制限行為能力者との契約の際に、ある意味では最も高いリスクとなる規定です。

つまり、制限行為能力者と契約を結んだ後に、その制限行為能力者が契約を取消す前にその契約によって発生した利益を浪費されてしまった場合は、不当利得の返還を請求したところで、返すものが無い、という状況になることがあります。

このような場合、本条ただし書きにより、その制限行為能力者は、現存利益のみを変換すればいいことになっています。例えば、上記の判例のように、ギャンブルに使われてしまった場合は、不当利得が返還されない可能性もあります。

例えば、ある人が、未成年者と金銭消費貸借契約(=いわゆる借金の契約)を結び、その未成年者に100万円を貸したとします。その後、その未成年者が、借りた金のうち90万円をギャンブルで使ってしまい、さらにその後に、その金銭消費貸借契約が取り消した場合は、現存利益が10万円と判断されます。

この事例では、未成年者は、10万円しか返さなくてもいいということになります。当然、貸し手は、90万円を丸損することになり、救済されることはありません。

これほどのリスクがあるのですから、未成年者を初めから契約の相手としないことも検討しなければなりません。

注意すべき契約書

  • 制限行為能力者が結んだ契約の契約書
  • 詐欺や強迫で結んでしまった契約の契約書

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最終更新日2011年10月10日