【意味・定義】意思能力とは?
意思能力=「法律行為をすることの法的な意味を弁識する能力」
意思能力とは、「法律行為をすることの法的な意味を弁識する能力」のことです(第3条の2、第7条、第11条、第15条第1項等参照)。
意思能力は民法上は厳密な定義はない
意思能力は、現行の民法では明文で定義づけられおらず、必ずしもその意味は明らかとはいえません。
これは、学者の間でも見解が分かれています。
この点について、主要な考え方として、以下の2つの考え方があります。
意思能力の定義の2つの考え方
- 意思能力を「事理を弁識する能力」として、一律に存否を判断する考え方
- 「法律行為をすることの法的な意味を 弁識する能力」として、個別具体的な法律行為の内容により存否を判断する考え方
このサイトでは、後者の考え方を採用しています。
意思能力のない法律行為=無効
なお、意思能力の無い者の法律行為は、そもそも法律行為としての要件(=意思能力があること)を充たしていません。
このため、民法第3条の2により、無効となります(大審院判決明治38年5月11日判例同旨)。
なお、意思能力が無い者の具体例としては、以下の者が該当します。
意思能力が無い者の具体例
- 赤ん坊、乳幼児など
- 重度の認知症の高齢者
- 泥酔した者
意思能力に関する補足
意思能力は小学生高学年頃に備わる?
意思能力をかんたんにわかりやすく表現すれば、「自分が何をやっているのか」ということと、「その結果としてどうなるのか」ということを認識できる能力ということです。
一般的に、意思能力は、小学校高学年頃には備わるとも言われています。
ただ、これは個人差がありますので、画一的に何歳から意思能力が備わっている、と判断することはできません。
厳密な基準はないが原則として18歳には備わる
民法でも、何歳から意思能力が備わっている、と規定してはいません。
また、判例でも、年齢による意思能力の境目について、画一的な基準があるわけではありません。
もっとも、成年(18歳以上。第4条参照)であれば、原則として意思能力があるものとされます。
契約実務における注意点
契約実務では、契約の相手方の意思能力の有無は、契約の根幹に関わる重要なポイントです。
相手方に意思能力が無い場合は、その契約が無効となってしまいます。
このため、未成年者や高齢者など、一般消費者を相手方に契約を結ぶ場合は、相手に意思能力があるかどうかの確認が重要です。
もっとも、意思能力の有無が疑われる相手方とは契約を結ぶべきではありません。
このような場合は、通常は法定代理人がいるはずですから、そちらと契約を結ぶべきです。