行為能力とは

【意味・定義】行為能力とは?

行為能力の定義

行為能力とは、私法上の法律行為を単独で完全におこなうことができる能力のこと。

民法上、制限行為能力者でない者は、行為能力を有しているとされます。

なお、行為能力は「権利能力」とは異なる概念です。

誰にでも行為能力はある

人間(=自然人)は、生まれながらにして私法上の権利(=権利能力)を全て有しているとされています(第3条第1項参照。)。

このため、原則として、どんな人であっても自由に法律行為をすることができます。

もっとも、行為能力を無制限に認めてしまうと、かえって弱者の保護にならない場合があります。

このため、民法では、一定の弱者を保護するために、行為能力を制限しています。

弱者=制限行為能力者として保護される

赤ん坊や一部の高齢者の行為能力は制限される

例えば、生まれたての赤ん坊や幼児は、単独では、物事を適正に判断できません。

また、一部の高齢者についても、単独で物事を適正に判断して契約できるわけではありません。

こうした高齢者の判断力の低下が、悪質業者が社会問題化している原因でもあります。

このように、事理を弁識する能力(=意思能力)が備わっていない者を保護するために、民法では、その者が単独で法律行為をおこなう能力を制限しました。

そのうえで、法定代理人等(親権者や成年後見人など)による保護を受けられるようにしています。

制限行為能力者とは?

このように、法律行為をおこなう能力が制限をされている者のことを、制限行為能力者といいます。

制限行為能力者の定義

制限行為能力者とは、行為能力を制限されている者であって、未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人のこと。

これに対し、法律行為をおこなう能力が一切制限されていない者のことを、行為能力者といいます。

そして、法律行為のをおこなう能力が制限されていない=単独で法律行為をおこなうことができる能力のことを、行為能力といいます。

スポンサードリンク

契約実務における注意点

制限行為能力者との契約は無条件での取消しのリスクがある

契約実務では、契約の相手方の行為能力の制限は、契約の根幹に関わる重要なポイントです。

相手方の行為能力が制限されている場合、その相手方やその保護者(法定代理人など)により、契約が無条件で取消されてしまう可能性があります(第5条第2項第9条第13条第4項第17条第4項参照)。

つまり、行為能力が制限されている相手方との契約は、不完全なものであるといえます。

未成年者以外の制限行為能力者は確認が困難

この点について、相手方が行為能力が制限されているかどうか=相手方が制限行為能力者であるかどうかは、(未成年者を除いて)実務上は確認が容易ではない、という問題があります。

制限行為能力者であることは、後見登記等に関する法律第4条第1項第5号により、法務局に登記されます。

この点について、制限行為能力者の契約の相手方は、その登記事項の証明書(正式には「登記されていないことの証明書」)の交付を請求できないことになっています(制限行為能力者本人やその関係者はできます)。

つまり、制限行為能力者の契約の相手方は、制限行為能力者の側に対して、登記事項の証明書の提示を求めることによってしか、相手方が制限行為能力者かどうかを判断できません。

相手方が制限行為能力者の可能性がある場合は慎重に対処する

このように、制限行為能力者との契約は、非常にリスクが高いうえ、確認が困難です。

このため、制限行為能力者と疑われる相手方(特に未成年者や高齢者など)との契約は、特に慎重に検討するべきです。

特に、事業上の契約として、相手方が制限行為能力者であると疑われる場合は、特に必要がない限り、契約の締結そのものを避けるべきです。

どうしても契約の締結が必要な場合は、法定代理人と取引をするべきです。