【意味・定義】利益相反行為とは?

利益相反行為とは、複数の当事者がいる場合における、一方の利益となり、かつ他方の不利益となるような、当事者間において利益が相反する行為をいう。




【意味・定義】利益相反行為とは?

利益相反行為とは、複数の当事者がいる場合における、一方の利益となり、かつ他方の不利益となる行為のことです。

民法においては、利益相反行為は、第108条異2項により無権代理行為とみなされます。

ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、利益相反行為とはなりません。

なお、いわゆる自己代理や双方代理についても、広い意味では利益相反行為とされています。




利益相反行為に関する補足

自己代理とは?

例えば、Aが、その所有する自動車をBに売却する場合、この売買契約の一方の当事者であるBが、もう一方の当事者であるAの代理人としても契約の当事者となる場合が該当します(下図参照)。

このように、一方の当事者が、他方の当事者の代理人となることを、自己代理といいます。

【意味・定義】自己代理とは?

自己代理とは、同一の法律行為について、一方の当事者が、他方の当事者の代理人となることをいう。

双方代理とは?

例えば、Aが所有する建物をBに対し売却する際に、司法書士Cがその建物の所有権移転登記について、AとBの双方の代理人となる場合も該当します(下図参照)。

このように、ある第三者が、双方の法律行為の当事者の代理人となることを、双方代理といいます。

【意味・定義】双方代理とは?

双方代理とは、同一の法律行為について、ある第三者が、双方の当事者の代理人となることをいう。

利益相反行為(自己代理・双方代理)は不法行為になり得る

利益相反行為により、一方の当事者に利益となり、他方の当事者に不利益となった場合、不法行為(民法第709条)に該当する可能性があります。

不法行為となった場合は、利益相反行為をおこなった当事者は、不利益を被った当事者から、損害賠償の請求を受ける可能性があります。

また、場合によっては、横領罪や背任罪などの刑事罰の対象となることもあり得ます。




判例

利益相反の判断基準

利益相反の判断基準について、過去の判例(最高裁判決昭和42年4月18日)では、「行為自体を外形的客観的に考察して判定すべき」と判示しています。

…利益相反行為に該当するかどうかは、親権者が子を代理してなした行為自体を外形的客観的に考察して判定すべきであつて、当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもつて判定すべきでない




契約実務における注意点

契約実務においては、利益相反行為は、意外と問題となることが多く、注意しなければならない概念です。

すでに述べたとおり、自己代理や双方代理の場合も重要ですが、会社の役員と会社との関係のように、法人とその代表権者との関係でも重要となります(会社法第423条第1項・第423条第3項)。

この他、利益相反行為は、いわゆる「競業避止義務」の論理的な根拠となります。

このように、自己のためではなく、他の者のために行動をする場合は、常に利益相反行為に該当する可能性を考慮に入れて行動する必要があります。

なお、利益相反行為に該当する可能性がある場合は、少なくとも不利益を被る当事者から許諾を得ておくべきです(第108条異2項ただし書き参照)。




利益相反行為に関するよくある質問

利益相反行為とは何ですか?
利益相反行為とは、複数の当事者がいる場合における、一方の利益となり、かつ他方の不利益となるような、当事者間において利益が相反する行為のことです。
自己代理・双方代理とは何ですか?
自己代理とは、同一の法律行為について、一方の当事者が、他方の当事者の代理人となることです。
双方代理とは何ですか?
双方代理とは、双方代理とは、同一の法律行為について、ある第三者が、双方の当事者の代理人となることです。