民法第130条第2項(条件の成就の妨害)の条文

第130条(条件の成就の妨害)

1 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。




民法第130条第1項(条件の成就の妨害)の解説

趣旨

本条は、条件の不正な成就について規定しています。

ある条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正にその条件の成就させた場合、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができます。

故意ではなく「不正」としたのは、故意に条件を成就させることは必ずしも問題のある行為ではないため、常に問題がある「不正」としました。

みなし規定

本条はいわゆる「みなし規定」です。

【意味・定義】みなし規定とは?

みなし規定とは、「みなす」という表現が使われている法律上の規定のことであり、ある事実があった場合に、法律上、当然にそのような効果を認める規定のことをいう。

このため、利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させた場合は、成就した条件について、相手方は、その意思表示により成就しなかったものとして扱うことができます。

一般的なみなし規定とは異なり、「みなすことができる。」となっており、相手方の意思表示を要する内容となっています。




改正情報等

新旧対照表

第130条(条件の成就の妨害)新旧対照表
改正法旧法

改正第130条(条件の成就の妨害等)

1(略)

2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

旧第130条(条件の成就の妨害)

(同左)

(新設)

本条は、平成29年改正民法(2020年4月1日施行)により、以上のように改正されました。

改正情報

本項は、過去の判例(最高裁判決平成6年5月31日)の「条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは、民法130条の類推適用により、相手方は条件が成就していないものとみなすことができる」との趣旨を明文化したものです。