民法第150条(支払督促)の条文
第150条(支払督促)
支払督促は、債権者が民事訴訟法第392条に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
民法第150条(支払督促)の解説
趣旨
本条は、支払督促による時効の中断について規定しています。
支払督促は、債権者が民事訴訟法第392条に規定する期間内(債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内)に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じません。
支払督促は、時効中断の事由である「請求」に該当します(第147条参照)。
しかし、支払督促があった場合であっても、それだけでは時効の中断の効力は生じません。
債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内に仮執行の宣言の申立てをして、初めて時効の中断の効力を生じます。
支払督促とは
本条における「支払督促」とは、裁判所書記官の、債務者に対する、金銭の支払や給付の督促の手続のことです。
かつては、「支払命令」と呼ばれていました。
仮執行の宣言とは
本条における「仮執行の宣言」とは、督促にもとづき、債権者の申立てによっておこなわれる、裁判所書記官の、債務者に対する、仮執行の宣言です(民事訴訟法第391条参照)。
この仮執行の宣言が付された支払督促は、確定判決と同一の効果があり、仮執行の宣言が債務者に対して送達された場合は、強制執行ができるようになります。
契約実務における注意点
本条の規定により、支払督促の後の仮執行の宣言の申立ては、時効を中断させる効果があります(仮執行宣言の申立てがない場合を除く)。
このため、自己の権利について時効が完成して不利益を被りそうな場合は、支払督促の後で仮執行宣言の申立てをおこなうことにより、時効を中断させることも検討するべきです。
支払督促や仮執行宣言の申立ては、訴訟の提起に比べて簡単な手続きであるため、比較的よく時効の中断の方法として使用されています。
なお、これらの手続きは専門知識が必要な手続きですので、弁護士や司法書士などの専門家の判断を仰ぎながら慎重に進めるべきです。
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