民法第16条(被補助人及び補助人)の条文

第16条(被補助人及び補助人)

補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。




民法第16条(被補助人及び補助人)の解説

趣旨

本条は、被補助人に対する補助人の付与について規定しています。
家庭裁判所からの保佐開始の審判を受けた者(第15条第1項参照)は、被補助人となり、これに補助人が付与されます。

補助人は被補助人を保護する者

補助人は、被補助人を保護する(第17条第1項参照)ために、民法上の権限を与えられる者です。

なお、補助人の代理権については原則として付与されておらず、例外として、家庭裁判所の審判により、被補助人の特定の法律行為についてのみ代理権を付与されることがあります(第876条の9第1項)。




契約実務における注意点

契約実務の点では、補助人の同意を要する行為について、同意を得ないものを取り消しうる被補助人との契約は、比較的リスクが高い契約であるといえます(詳細は第17条第4項参照)。

しかも、補助人の同意を要する行為は、保佐人の同意を要する行為(第13条第1項参照)のように類型化されておらず、家庭裁判所の審判により決定されます(第17条第1項参照)。

このため、どのような行為について補助人の同意を要するのかは、被補助人によって、異なります。

ただし、家庭裁判所は、補助人の同意を要するものは、第13条第1項各号の行為の一部に限ります(第17条第1項ただし書き参照)。

なお、補助人の同意を要する行為以外の行為については、被補助人は、補助人の同意を要することなく、他の行為能力者と同じように、単独でおこなうことができます。

また、成年被後見人の場合とは違って、補助人の同意があった行為については、取消すことができません。

このため、成年後見人との契約でない限り取消しのリスクが常にある成年被後見人との取引の場合と比べて、被補助人との取引の場合は、かなりリスクを抑えておこなうことができます。

契約実務上は、補助人の同意を得る必要がある行為に関しては、契約締結の場に補助人にも同席してもらい、同意を取り付ける形で契約に調印することになります。

つまり、被補助人と補助人の双方と契約交渉をおこなうことが重要となります。

注意すべき契約書

  • 被補助人が当事者となる契約書