民法第1条第1項(基本原則)の条文
民法第1条(基本原則)
民法第1条第1項(基本原則)の解説
趣旨:私権を制限する公共の福祉
本項は、民法の基本原則のうち、公共の福祉による制限について規定しています。
私権は、公共の福祉、つまり国家や社会の一般的な利益に適合しなければなりません。
民法第1条第1項(基本原則)の補足
私権・私法よりもあくまで公共の福祉が優先
私権=民事上の権利は、対等の権利です。
これは、主に民法を始めとした法律=私法により、保障されています。
【意味・定義】私法とは?
私法とは、私人の相互間の関係に適用されるの法律をいう。
公共の福祉とは?
私権が国家や社会全体の利益と競合するような場合、制限されることがあります。
これは、国家や社会の枠組みを守るための制限です。
このように、私権や私法よりも優先される国家や社会全体の利益のことを「公共の福祉」といいます。
【意味・定義】公共の福祉とは?
公共の福祉とは、国家や社会全体の利益をいう。
公共の福祉に反する場合、私権の効力は認められません。
民法第1条第1項は、この公共の福祉に関する制限について規定した条文です。
契約実務における注意点
公共の福祉により契約内容が制限される場合もある
契約は、当事者間の約束事です。
しっかりした内容の契約書を作ったとしても、それはあくまで当事者の間でしか適用されるものでしかありません。
本項により、場合によっては、契約書の内容よりも「公共の福祉」のほうが優先されることもあります。
つまり、「公共の福祉」を実現するために制定された法律については、契約当事者は、契約内容よりも優先的に遵守しなければならない、ということです。
公共の福祉を目的とした法規制に注意する
契約実務においては、このような「公共の福祉」のための法規制に抵触しないように、慎重に契約内容を起案しなければなりません。
例えば、行政機関や裁判所等によって、法律にもとづく情報の開示要求が出された場合において、情報の開示が秘密保持義務に抵触する内容の契約だったときに問題となります。
このような場合、秘密保持義務と行政機関や裁判所等に対する情報開示の優先順位を明確にしておかないと、開示を要求された側は、法律違反か契約違反かのどちらかを選ばなくてはならなくなります。
このような矛盾やジレンマに陥らないために、秘密保持義務の除外規定を設けたり、優先順位を定めておかなければなりません。
注意すべき契約書
- 法律に抵触する可能性がある契約書全般
- 秘密保持契約書
- 秘密保持義務が課された契約書全般
民法第1条第1項(基本原則)に関するよくある質問
- 民法第1条第1項(基本原則)はどのような規定ですか?
- 民法第1条第1項(基本原則)は、民法の基本原則のうち、公共の福祉について規定した条項です。
- 「公共の福祉」とは何ですか?
- 「公共の福祉」とは、国家や社会全体の利益のことです。