民法第22条(住所)の条文
第22条(住所)
各人の生活の本拠をその者の住所とする。
民法第22条(住所)の解説
趣旨
本条は、民法における住所の定義について規定しています。
民法では、その者の生活の本拠となっている場所を、その者の住所としています。
つまり、本条により、生活の本拠=実際に住み、生活の中心となっている土地の住所をその人の住所とする、ということです。
住民票の住所=民法上の住所とは限らない
本条の規定は抽象的な表現であるため、明確な定義であるといはいえません。
このため、実際の住所は、それぞれの事情を客観的に総合して判断されます。
例えば、住民票の住所であるからといって、必ずしも本条でいうところの(つまり民法における)「住所」とされるとは限りません。
住民基本台帳に記載されている住所は、民法上の住所を決定づける、ひとつの判断材料に過ぎません。
契約実務における注意点
契約書に調印するときは、当事者が個人の場合は住所、法人の場合は所在地を書いてもらうことになります。
これは、契約の当事者をより限定することにより確定するために書いてもらうためであり、住所や所在地を書いてないからといって契約が無効になるというような性質のものではありません(ただし、当事者が確定できない契約書は証拠能力が著しく低いといえます)。
個人の場合は、同姓同名の氏名の人がいくらでもいますし、法人の場合であっても、数は少ないながらも、同じ商号の法人は存在します。
理論上は、契約書に記載された氏名や商号だけでも、(直筆のサインの場合は)筆跡鑑定などで当事者を確定させることは可能です。
しかしながら、より明確に当事者を確定させるため、契約実務上は、住所や所在地を記載し、実印の押印などをおこないます。
この住所は、一般的には、住民票記載の住所(=印鑑証明書記載の住所)ということになります。
法人であれば、登記記載事項の所在地ということになります。
なお、住民票記載の住所や登記記載事項の所在地と実際の住所や所在地が異なる場合、その個人や法人との契約については、慎重になるべきです。
国会議員のように特殊な事情があれば話は別ですが、一般的には、住民票記載の住所=実際の住所であるといえます。
そうでなければ、一般的には、契約上、リスクがある人物ということになります。
これは、法人の場合でも同様です。
注意すべき契約書
- 個人を相手方としたすべての契約書