民法第35条第2項(外国法人)の条文

第35条(外国法人)

1 外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。

2 前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。




民法第35条第2項(外国法人)の解説

趣旨

本項は、外国法人の権利義務について規定しています。第35条第2項によって認許された外国法人は、内国法人と同一の私権を有します。 ただし、外国人が持つことのできない権利(第3条第2項参照。)、および法律または条約によって制限されている権利については、私権を有していません。

外国法人とは

外国法人とは、内国法人=日本法人=日本の準拠法で設立された法人以外の法人をいいます。

私権とは

私権とは、私法上、有することができる権利の総称のことです。

旧規定について

本項の内容は、2008年の民法改正以前は、旧民法第36条第2項の内容でした。

また、本条は、2008年の民法改正以前は、社団法人・財団法人の名称の使用制限について規定されていました。

なお、旧民法35条の規定は、次のとおりです。

旧民法35条(名称の使用制限)

社団法人又は財団法人でない者は、その名称中に社団法人若しくは財団法人という文字又はこれらと誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。




契約実務における注意点

本項の規定や各種法律により、外国法人は権利が制限されることがあります。

このため、契約実務では、外国法人と契約を結ぶことには、リスクが伴います。

例えば、土地に関する権利の取得や、船舶や航空機の取得、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)などの取得などが制限されています(このほかにもあります)。

このような権利が対象となる契約の場合は、よく法律を調べたうえで契約を結ばなければなりません。

注意すべき契約書

  • 不動産売買契約書
  • ライセンス契約書