民法第5条第3項(未成年者の法律行為)の条文

第5条(未成年者の法律行為)

1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

3 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。




民法第5条第3項(未成年者の法律行為)の解説

趣旨:未成年者単独で処分できる財産を規定

本項は、未成年者が単独で自由に処分できる財産の内容を規定した条項です。

第1項(民法第5条第1項参照)の規定にもかかわらず、法定代理人が目的を決めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができます。

また、目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも同様に未成年者が自由に法律行為をおこない、処分することができます。

「お小遣い」は自由に使うことができる

「目的を決めて処分を許した財産」は、例えば、参考書や書籍などの購入のためにあげた金銭などが該当します。

また、「目的を定めないで処分を許した財産」は、いわゆる「お小遣い」が該当します。

これらの金銭は、法定代理人の同意を得ることなく、自由に処分することができます。




契約実務における注意点

未成年者との取引きのリスクを抑える条項

本来はリスクが伴う未成年者相手の契約(民法第5条第1項参照)とはいえ、お小遣い程度の金額のやりとりとなる契約であれば、本項によって、かなりリスクが低くなります。

この点から、未成年者を相手方としたB to Cのビジネスモデルの場合は、お小遣いを支払いの代金に充てることができるような仕組みにすることで、リスクを抑えることができます。

ただ、いくらお小遣いの範囲であったとしても、毎月のお小遣いのほとんど全額を支払う分割払いの契約などは、取り消される可能性があります。

金額が大きい取引は必ず法定代理人の同意を直接確認する

また、お小遣いの範囲を超えていても、法定代理人の同意を得た財産の処分に関する契約(例えば不動産の売買契約)であれば未成年者単独と契約を結んでも問題ないかといえば、必ずしもそうとはいえません。

理論上は、本項によって有効となる契約であるといえるかもしれませんが、念のため、法定代理人の意向を確認しておくべきです。

というのも、その財産の処分の許可が、実は未成年者のウソだという可能性もありますし、後になって法定代理人から、許可を出してないと主張されることも考えられます。

このため、特に金額の大きい取引では、法定代理人の同意(民法第5条第1項参照)を、なるべく書面で得ておくべきです。

注意すべき契約書

  • 未成年者が当事者となる契約書全般
  • 未成年者を対象としたホームページ・ウェブサービス・アプリ等の利用規約




民法第5条第3項(未成年者の法律行為)に関するよくある質問

民法第5条第3項(未成年者の法律行為)はどのような規定ですか?
民法第5条第3項(未成年者の法律行為)は、未成年者が単独で自由に処分できる財産の内容について規定した条項です。
「目的を決めて処分を許した財産」と「目的を定めないで処分を許した財産」の具体例は何ですか?
目的を決めて処分を許した財産」の具体例は参考書の購入代、「目的を定めないで処分を許した財産」の具体例はお小遣いなどが該当します。