民法第97条第2項(意思表示の効力発生時期等)の条文

第97条(意思表示の効力発生時期等)

1 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。

3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。




民法第97条第2項(意思表示の効力発生時期等)の解説

趣旨

本項は、相手方が意思表示の通知の到達を妨げた場合における効果として、到達の時期を「通常到達すべきであった時」とみなす規定です。

平成29年改正民法により、本項は新設された規定です。

本項は、過去の判例(最高裁判決平成10年6月11日)の理論を踏襲したものとされています。

みなし規定

本項はいわゆる「みなし規定」です。

【意味・定義】みなし規定とは?

みなし規定とは、「みなす」という表現が使われている法律上の規定のことであり、ある事実があった場合に、法律上、当然にそのような効果を認める規定のことをいう。

このため、実際に到達した時期に関係なく、到達の時期は「通常到達すべきであった時」として扱われます。




用語の定義

意思表示とは?

【意味・定義】意思表示とは?

意思表示とは、「一定の法律効果の発生を欲する旨の意思の表明」(法務省民事局『民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-』p.35)をいう。




改正情報等

新旧対照表

民法第97条(意思表示の効力発生時期等)新旧対照表
改正法旧法

改正民法第97条(意思表示の効力発生時期等)

1 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。

3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し
意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

旧民法第97条(隔地者に対する意思表示)

1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

(新設)

2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

本条は、平成29年改正民法(2020年4月1日施行)により、以上のように改正されました。

改正情報

本項は、すでに述べたとおり、平成29年改正民法において新設された条項です。

この改正は、過去の判例(最高裁判決平成10年6月11日)の理論を反映したものとされています。