民法 第116条
    (無権代理行為の追認)

条文

追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

解説

無権代理行為の追認は、別段の意思表示がない場合は、契約の時点にさかのぼってその効力を生じます。

ただし、第三者の権利を害することはできません。



これはどういうことかというと、通常、契約というのは、締結した時点から効果を生じるものですから、無権代理行為を追認した場合でも、通常の契約と同じように扱う、ということです。

逆に言うと、無権代理行為は、追認がない限り、その効力を生じない、ということです。

なお、「別段の意思表示がないとき・・・」という制限がついているのは、一般的な契約の場合は、最初から効力が生じていることを契約の両当事者が望んでいるはずですから、それ以外の場合は、別段の意思表示を必要とする、ということです。



なお、この場合であっても、第三者の権利を害することはできません。

契約書作成実務における注意点

無権代理行為を追認した場合、別段の意思表示がないときは、本条によって、契約を結んだ時点まで遡って、その効力が生じます。

この点につき、契約書作成実務においては特に問題はありません。

また、但書の部分も当然のことですし、特にこの但書によらなくても、すでに確定している第三者の権利を害することはできません。



問題は、むしろ、いくら追認があるとはいえ、無権代理行為による契約を結んでもいいのか、という点にあります。

契約内容にもよりますが、無権代理による契約は、本人が望まない契約の可能性が高いです。

ですから、仮に有効に成立したとしても、継続して契約を運用していくことが困難になる可能性があります。

契約というのは、成立すればいいというものではなく、当事者双方の信頼関係が維持されていなければ、継続していくことができません。



特に、ビジネス上の契約の場合は、その履行が担保されてない、つまり、本当に実行されるかどうかわからないような契約は、たとえ有効に契約が成立しても、油断ができません。

ですから、原則として、無権代理によって結ばれた契約は、取り消すことを前提に検討しましょう。

注意するべき契約書

無権代理人が当事者となる契約書全般

特に、事業者間でのビジネス上の契約書。

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