【意味・定義】強行規定とは?

強行規定とは、公の秩序に関する法令の規定のことです。

強行規定は、国家や社会などの一般的な秩序を守るための規定です。

このため、行為の当事者が強行規定より異なる意思表示をおこなったとしても、強行規定が優先されます。

なお、強行規定に対立する概念として、「任意規定」があります。

補足

民法や民法の特別法では、弱者を保護するための規定として強行規定が規定されていることがあります。

例えば、土地の賃借人は、借地権の存続期間が満了した場合、土地の賃貸人に対して、建物等を買取るように請求できます(いわゆる「建物買取請求権」。借地借家法第13条参照)。

これは、一般的に土地の賃貸人よりも立場が弱い賃借人を保護した規定です。

この規定に反した契約内容のうち、土地の賃借人にとって不利なものは、無効となります(借地借家法第16条参照)。

民法上は、第1編総則、第2編物権、第4編親族、第5編相続の規定の多くは、強行規定です。

ただし、どの規定が強行規定に該当するかは厳密には決まっていないことが多いため、契約実務上は、個別に規定を検討することになります。

なお、強行規定の中には、明確に条文で強行規定である旨が規定されているものもあります。

例えば、上記の借地借家法第13条の規定は、借地借家法第16条で強行規定であることが明確に規定されています。




契約実務における注意点

契約実務では、いわゆる契約自由の原則(内容自由の原則)により、原則として、当事者の合意は、法律に優先します。

ただし、強行規定に反する合意は無効となります。

このため、実務上は、いかに強行規定に抵触しない内容であるかを考慮しながら契約書を起案しなければなりません。

つまり、契約内容を有効とするためには、その契約内容が強行規定に抵触しないか、言い換えれば、いかに強行規定の内容を知っているかが重要となります。

ところが、実際には、ある法律の規定が任意規定であるか強行規定であるかがはっきりしていないことが多く、その判断には迷うことがあります。

このような事情から、任意規定か強行規定かが明らかでない法律の規定に抵触する契約書を起案する場合は、その内容が無効となることも考慮しながら起案する必要があります。