【意味・定義】無効とは?
無効とは、初めから当然に効果を生じないことです。
民法において、無効な行為は、最初から完全に効力を生じることはなく、追認することもできません(第119条参照)。
この点は、最初から一応は有効であり、追認もできる取消しとは大きく異なる点です(第122条参照)。
無効に関する補足
無効な行為は、永続的に無効となります。
また、原則として誰でも無効の主張はできます(ただし、例外もあります。第94条第2項参照)。
しかしながら、誰も無効を主張しなかった場合、一見して有効であるかのような状態が維持されることになります。
このため、無効な行為を前提として、更に行為を重ねていった場合に、(特に第三者との間で)後の行為の有効性や利害の調整を巡ってトラブルになることがあります。
契約実務における注意点
契約実務では、無効な契約条項は、契約当事者に様々な影響を与えます。
このため、無効な契約条項は規定するべきではありません。
この点について、民法上、明らかに無効な契約条項(公序良俗違反など。第90条参照)や、法令等で無効である旨が規定されている場合の契約条項であれば、無効である旨が明らかです。
ただ、必ずしもすべての契約条項について有効か無効かが明らかであるとは限りません。
しかも、優位な立場における有利な契約条件ほど、公序良俗違反や独占禁止法違反(優越的地位の濫用など)により、無効となる可能性を考慮しなければなりません。
このため、契約実務では、有効か無効かがはっきりしない、いわば「グレーゾーン」の規定について、慎重に判断しなければなりません。
この点について、常に「最悪の場合は無効となる可能性がある」という視点で契約書を起案し、無効となった場合の手当ても考慮しておくべきです。