民法第32条の2の条文
第32条の2(同時死亡の推定)
数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
民法第32条の2解説
趣旨
本項は、複数の者が死亡した場合の同時死亡の推定について規定しています。
数人の者が死亡した場合、そのうちの一人が他の者の死亡後に生死不明のときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定します。
本項は、個人の死亡に関する規定であるため、主に相続(第882条)の場合に問題になります。
相続において、死亡の時期の前後によって、相続人の利害関係が大きく変わってきます。
本項により、例えば飛行機事故や津波のように、厳密な死亡時刻が判明しない状態で親子が死亡した場合などでは、特に明確な根拠のある反証がない限り、同時に死亡したものとされます。
このような場合、本項により、被相続人(=死亡した人)は同時に死亡したものと扱われ、双方が相続しあわないことになります。
この結果、相続人同士による「誰が早く死んだのか」を巡る紛争を防ぐことができます。
推定規定
本項は、複数の者を「同時に死亡したものと推定する」いわゆる「推定規定」です。
推定規定は、みなし規定とは異なり、反証がある場合は、この推定を覆えすことができます。
例えば、船舶の遭難事故の場合、船舶が沈没する過程で書かれたメモに生死の前後が書かれていて、それが発見された場合などは、有力な反証となります。
契約実務における注意点
本条は、契約実務においては、あまり問題になることはありません。
注意すべき契約書
- 遺産分割協議書