【意味・定義】特別法とは?
特別法とは、有る特定の事項について、一般法よりも優先して適用される法律ををいう。
【意味・定義】特別法とは?
特別法=特定の場合について適用される法律
特別法とは、ある特定の事項について、一般法よりも優先して適用される法律のことです。
例えば、商人による取引については、民法の特別法として、商法が優先して適用されます(商法第1条)。
また、事業者と労働者との労働契約には、民法の雇用(第623条以下参照)の規定よりも、労働基準法や労働契約法が優先して適用されます。
同様に、不動産の賃貸借には、民法の賃貸借(第601条以下参照)の規定よりも、借地借家法が優先して適用されます。
【補足】一般法と特別法は相対的な概念
一般法と特別法の関係は、絶対的なものではなく、相対的なものです。
つまり、ある法律が一般法であるとか、特別法であるとかいうように決まっているものではありません。
このため、法律Aと法律Bの関係が一般法(法律A)と特別法(法律B)の関係であっても、法律Bと法律Cの関係が一般法(法律B)と特別法(法律C)であることがあります。
一般法と特別法の相対性の具体例ト
- 独占禁止法の一部の規定は、民法の特別法。この関係では、「独占禁止法=特別法」であり、「民法=一般法」。
- 下請法の規定は、独占禁止法の特別法。この関係では、「下請法=特別法」であり、「独占禁止法=一般法」。
このように、同じ独占禁止法でも、相対的な関係性によっては、一般法にも特別法にもなります。
なお、法律間の優劣については、明文で規定されていないこともありますので、常に気をつけなければなりません。
契約実務における注意点
契約によっては民法よりも重要となる特別法
契約実務においては、「私法の一般法」といわれる民法が重要であることは、言うまでもありません。
しかしながら、契約には、民法以外に適用される民法の特別法が非常に多い、という事情があります。
むしろ、特別法のほうが重要であるといっても過言ではありません。
このため、契約実務では、民法と同じくらい、特別法についても、よく知っておく必要があります。
特別法には厳しい規制が多い
民法の特別法は、特定の契約当事者を保護することを目的とした法律であることが多いです。
その目的から、多くの規定が強行規定となっているからです。
このため、せっかく苦労して契約書を作成しても、その内容の規定が特別法に違反するために、無効となることがあります。
場合によっては、特別法の規定により、罰則が科されたり、行政処分を受けることさえあります。
この点から、契約実務においては、民法の特別法は、民法以上に慎重に検討しておかなければなりません。
契約において適用される特別法の具体例
契約において適用される特別法は、主要なものでも、以下のものがあります。
契約実務で重要となる民法の特別法の例
- 商法
- 会社法
- 建設業法
- 労働者派遣法
- 労働基準法・労働契約法
- 独占禁止法
- 下請法
- 借地借家法
- 消費者契約法
- 特定商取引法
- 金融商品取引法
- 利息制限法
- 貸金業法
契約実務においては、民法の他に、これらの特別法についても、慎重に検討する必要があります。