民法第114条(無権代理の相手方の催告権)の条文
第114条(無権代理の相手方の催告権)
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
民法第114条(無権代理の相手方の催告権)の解説
趣旨
本条は、無権代理の相手方の催告権について規定しています。
第113条第1項の無権代理行為があった場合、無権代理行為をされてしまった相手方は、本人に対して、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答するように催告をすることができます。
この場合、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされます。
無権代理行為があった場合、本人は、その無権代理行為について追認やその拒絶ができます(第113条第1項・第113条第2項・第116条参照)。
ただ、これは本人の側が何らかの行動をおこすことが前提となっています。
つまり、本人が何の行動も起こさなければ、無権代理行為は追認されれるのか、または追認を拒絶されるのかが明確にならず、不安定な状態となります。
このような不安定な状態を、無権代理人の相手方が解消できるようにするため、本条は、無権代理行為の相手方の側に催告権を与えています。
みなし規定
本条はいわゆる「みなし規定」であるため、本人が期間内に確答をしない場合は、実際には本人が追認しようとしていたときときであっても、追認の拒絶をしたものとして扱います。
契約実務における注意点
無権代理行為は、すでに述べたとおり、相手方にとって非常に不安定な状態であるといえます。
契約実務においては、契約の追認を拒絶することができるということは、その契約は不完全な契約であるということです。
無権代理行為の相手方となってしまった場合は、このような不完全な契約を解消するため、本条により、本人に対する催告をおこなうべきです。
この際、証拠が残るように、一般書留の内容証明郵便により、書面でおこないます。
なお、催告される側(=無権代理の本人)としても、確答する際には、同様に一般書留の内容証明郵便により、書面でおこないます。
この点について、追認を拒絶する場合は、わざわざその通知をする必要はありません(本条後段)が、後日のトラブルが予想される場合は、あえて追認の拒絶を通知することも検討するべきです。
注意すべき契約書
- 通知書